カサンドラは健忘症

離婚、そしてうつ病に。離島で働いていたが戻ってきて、元夫と奇妙な同居生活

「洗面器買ってもいいですか」

元夫との同居生活をはじめて

5日がすぎた

 

特にルールを決めるわけでもなく

これからの話をするわけでもなく

荷ほどきや掃除、買い物をして

過ごしている

 

私が気まぐれに作ったご飯を

「美味しい」といって食べ

洗濯してあげたタオルが

「フワフワだね、なんでだろ?」

と言い

「今から帰るけど、何かいる?」など

気を使い

細かいことにも「ありがとう」と言う

 

 

しかし

私も気を使っている

 

元夫の車を日中、借りるために

駅まで元夫を送迎している

 

元夫をのせての運転はトラウマに

なっている

運転を細かく注意され続けてきて

時には号泣し、喧嘩してきたからだ

 

私は最新の注意をはらい

「ここは、ゆっくりだったね

ここの曲がり方はこうだったね」と

確認しながら運転する

 

 

 

一緒に暮らしてた頃は

家におくもの、全ては

元夫の美的感覚にかなうものしか

買ってはいけなかった

 

洗剤もティシュも、オシャレなケースに

移し替え、

コップもディスプレイし

カーテンも、タオルも、服も靴も

花も木も、食器も電化製品も

 

全て元夫のセンスで買い

私が結婚前にもっていた服や物は捨てられた

 

この家に帰ってきて

私が私自身で買ったものが何一つないことに

気づいた

 

別れてから買ったジャージを着ていたら

「みすぼらしいね」と言い

スーツケースを見ては

「何でこんなの買ったの

もっと軽くてオシャレなのかいなよ」と言う

 

もし別れてなかったら

スーツケースを一緒に買いにいき

「これどう思う?」と尋ね

元夫のセンスにかなうものを買ったであろう

 

私は今まで、自己決定権を搾取され続けていたのだ

 

風呂場には洗面器がなかった

美観を損ねる日用品は買わない主義の元夫が

不必要と判断したのだろう

 

でも私は洗面器がほしい

 

「洗面器、買ってもいいですか」

元夫に尋ねた

 

しばらく沈黙のあと

「よかろう」と言った

そのあと「◯◯(ブランド)のやつならいいよ」

と付け加えられた

 

私はこれからも

自己決定権を搾取されるのだろうか

 

元夫の顔色を伺いながら暮らすのだろうか

 

出来るだけ一緒にいないようにして

家庭内別居のようし暮らし

車を自分で買い、

元夫に合わせることなく

何を決めるにも、相談せず

自分を大切にして暮さねば